プロジェクトの背景

北限域の造礁サンゴ分布調査


OWSは、2008年の「国際サンゴ礁年」をきっかけに、造礁サンゴの太平洋沿岸での分布北限にあたる伊豆半島、三浦半島、房総半島一帯での分布調査を行うこととし、「北限域の造礁サンゴ分布調査プロジェクト」を開始しました。

2013年には、調査発足時から協力関係にあった国立研究開発法人国立環境研究所との共同研究契約を締結し、温暖化影響評価のための海洋モニタリング調査として、海水温上昇によるサンゴ群集の応答を調査するとともに、サンゴとその生息環境の保全をテーマとしたさまざまな普及啓発活動を併せて推進してきました。

北限域の造礁サンゴ分布調査プロジェクト



造礁サンゴ調査プロジェクト ~北限域調査から全国調査へ~


2015年には、北限域調査海域に加えて、国立環境研究所が全国8海域で実施していた調査サイトでの業務を受託し、「造礁サンゴ調査プロジェクト」として新たなスタートを切りました。

このプロジェクトの開始にあたっては、調査チームの再編成を行って、安全基準を高めるとともに、調査機材や調査手法を大きく改良し、より精緻なデータ検出を可能にしました。

また、2017年からは調査区及び周辺での「魚類調査」も併せて開始し、現在に至っています。


プロジェクトの意義と目的

このプロジェクトは、多様な主体の連携・協力による市民参加型の長期モニタリング調査を軸とした取り組みで、新しい調査研究と環境保全の普及啓発の枠組みを創出するものです。調査で得られる情報の有効活用と環境保全の普及啓発に資することを目的とし、以下の3つの調査を実施しています。

●モニタリング調査
この調査は温暖化の影響評価を行うため、海水温上昇に伴う造礁サンゴの応答を長期モニタリングによって調べることです。

●魚類調査
この調査はモニタリングサイトにおけるサンゴ群集と魚類群集の関係を解明しようとするものです。モニタリング調査と併行して実施します。

●保全のための調査
この調査は温帯域の造礁サンゴの分布状況を探索し、保全すべき特定のサンゴ群集について必要な調査を行い、現実的な保全に繋げることを目的としています。