この活動は地元の皆さんの理解と協力を得られるかどうかがたいへん重要です。
長年江奈湾干潟を見守ってきた方々からのメッセージです。



ヨシ刈り(高梨さん)


高梨健児さん


高梨健児さん

江奈湾に生まれて住み、祖父の代までは江奈湾で農業、漁業をしていました。三浦市役所退職後も江奈湾の姿が変わらないことを願って住み続けています。

江奈湾はその昔、子供の泳ぎの練習場でした。多くの子供がここで練習しました。戦時中この地域全体が東京湾要塞地帯で立ち入りが禁止され、湾内は特攻舟艇の基地で50艇の震洋艇が待機していました。戦後になっても干潟は自然のままの状態が続いてきました。私が干潟を行き来した子供の頃の底質はほとんど砂地の感覚でしたが、近年湾上流一帯の田んぼを埋めて畑を造成する土地改良事業が行われました。その埋め立て土が降雨により流出して入江に堆積してしまいましたが、周辺は自然のままです。
現状の自然状態が維持できるよう関心をお持ちの皆様の活動に期待しています。


石渡正昭さん


石渡正昭さん

1957年三浦市三崎生まれ。大学では地質学を専攻。元三浦市立剣崎小学校校長。

剣崎小の教諭時代には、総合的な学習の時間に江奈湾の生き物等の学習に取り組みました。その時に、学区在住の高梨健児氏にゲストティチャーとして授業にご協力をいただき、充実した環境教育ができたと思っています。また、剣崎小では、全校で年3回学校前の海岸の清掃活動を行っています。

2012年に、干潟付近のごみ収集をしているOWSという団体を知りました。江奈湾と剣崎付近の環境を保全するために、その活動に協力することになりました。江奈湾は、干潟、磯、砂浜が混在する自然の豊かな入り江です。その保全の力になりたいと思っています。


五十嵐徹さん(三浦市立剣崎小学校 校長)


学校前の横断歩道を渡るだけで江奈湾に出られる剣崎小学校では、1年生から海探検や生きもの観察などを数多く行っています。また、高学年になると多くの学年が総合的な学習の時間などで、江奈湾をテーマに学んでいます。

2021年の夏休み、剣崎小学校恒例の子どもたちのカニの観察会を行っていたときに、干潟で偶然初めてOWSの横山さんにお会いしました。お話を伺い、私たちにとって日常の景色の一部であった江奈湾が非常に貴重なものであること、そしてここを長年にわたって調査し、清掃活動を行っている方々の存在を知り大変驚きました。

偶然の出会いからつながりが広がり、横山さんにゲストティーチャーとして授業をお願いしたり、教員向けに研修会を開いていただいたりしました。清掃活動や観察会では教員、子ども、保護者に参加の枠を広げていただき、江奈湾を再認識するいろいろな機会の中で、学校全体に新しい学びへの意欲がふくらんでいるところです。

子どもたちだけでなく、大人にとっても生活の一部であり愛着のあるこの海です。学校での取り組みが地域とつながり、地域の方たちと共に自然と共生できる子どもたちを育てていくことができたら素晴らしいなと思っています。