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『オキノタユウ通信』第6号9-10ページ(2001年9月1日発行)より抜粋  
北西ハワイ諸島ミッドウェー環礁にアホウドリの第3繁殖地を
 

ホノルルで開催された第2回国際アホウドリ類会議(2000年5月7〜14日)のときに、ハワイ諸島国立野生生物保護区のスタッフから、ミッドウェー環礁にアホウドリの第3繁殖地を形成したいと提案されました(注1)。

それを受け止めて、可能なかぎり協力したいと答え、つぎのような呼びかけの文を作りました(長谷川博会長 2000年6月)。

 

北西ハワイ諸島ミッドウェー環礁に
アホウドリの第3繁殖地を

北太平洋の真ん中に位置するミッドウェー島。ここは海鳥たちの楽園です。毎年、数十万羽のコアホウドリや数万羽のクロアシアホウドリをはじめ、ミズナギドリ類やグンカンドリ類、アジサシ類、カツオドリ類など、20種近い海鳥が大集団をなして繁殖しています。

いま、ここに、日本の伊豆諸島鳥島から巣立った3羽のアホウドリが訪れています。それらの足についている足環から、12歳(青057)、13歳(赤051)、18歳(黄015)の鳥だとわかりました(注1)。しかし、これら3羽は島の別々の場所にすみついていて、おたがいに出会うチャンスがありません。アホウドリは地球上の総個体数が1000羽あまりの絶滅のおそれのある種です。もし、この状態を放置すれば、これら3羽のもつ“貴重な”繁殖能力が“無駄”になってしまいます。

そのため、アメリカ合衆国連邦政府魚類野生生物局のハワイ諸島統合国立野生生物保護区とミッドウェー国立野生生物保護区の保護管理官(注2)は、鳥島で新コロニーを人為的に形成するのに実績のあった「デコイ作戦」をミッドウェー島にも導入しようと考えています。すなわち、デコイとよばれる模型の「おとり」をならべ、そのそばから録音した鳴き声を流して、これらのアホウドリを1箇所に誘引し、つがい形成を促進しようというのです。そして、将来的にはここに、伊豆諸島鳥島や尖閣諸島南小島につぐ、第3の繁殖地を確立したいと願望しています。ミッドウェー島は鳥島と異なり、火山島ではありません。したがって、この計画はアホウドリの生存に対する危険を分散させ、安全を確保するためにも重要です。

これは、ほんとうに夢のような計画です。しかし、ものごとはたいてい夢から始まるということを思い出してください。この計画にために、まず、10体のデコイを寄贈しようではありませんか。   

長谷川 博
274-8510 千葉県船橋市三山2-2-1
東邦大学理学部生物学教室


(注1)アメリカ連邦政府・内務省魚類野生生物局(US Fish & Wildlife Service)は、アホウドリが生物種保存法(Endangered Species Act)の対象種に登録されたのにともない、ミッドウェー環礁にアホウドリの新しいコロニーを形成しようとする計画を策定した(2000年5月)。
最初、ナンシー・ホフマンは「鳥島からアホウドリの卵をミッドウェー環礁に運んで、人工孵化をして、ひなを人の手で飼育し、巣立たせたい」という希望を持っていたが、それは困難 だと説明して、デコイによる誘引を提案した。

(注2)青057、赤051、黄015の3羽は、これまで生まれ故郷の伊豆諸島鳥島に帰って来たことはありません。完全にミッドウェー島に定着してしまっているのです。

(注3)Dr. Beth Flint (Refuge Director, US Fish and Wildlife Service, Hawaii Pacific Islands Northwestern Region), Dr. Robert Shallenberger (Refuge Manager, Midway Atoll National Wildlife Refuge), Ms. Nancy Hoffman (Wildlife Biologist, Midway Atoll National Wildlife Refuge)

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その結果、3団体の協力(合計 1,890,720円 の寄付)により、2000年9月下旬に、デコイ16体(成鳥型10体、若鳥型6体)をミッドウェー環礁国立野生生物保護区(Midway Atoll National Wildlife Refuge) に提供しました。

アホウドリ基金
961,795円
積水ハウス梅田オペレーションズ株式会社
※大阪梅田でワイルドライフ写真大賞展を開催し**、その入場料の1%を寄付。
752,605円
NPO法人OWS
※アホウドリのデコイ16体***のホノルルまでの送料を負担。
176,320円
合計
1,890,720円

**  2000年7月7〜8日に大阪梅田の写真展会場で講演と説明を行なった。

*** デコイの元型の製作は野鳥彫刻家の内山春雄さん(我孫子市)により、プラスチック素材 のレプリカ製作と着色は生物模型専門会社の西尾製作所(京都市山科区)による。再生音声の音源は長谷川博による鳥島でのDAT録音で、鳥島でデコイ作戦に用いたものとほぼ同じ。


 

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